机を横に並べた、六畳ほどの小さな部屋ーーここがカリリロのミニチュア服作りの手仕事場です。
いつでも作業ができるスペースがあるーーと言うのが、私にとって理想の作業場。
そのため、机の上にはできる限り何も置かないようにしています。
また布や糸を扱う裁縫は、チリやホコリが溜まりやすいというのも、モノを置かない理由のひとつです。
ミ・ウーリーズ(Mi Woollies)の羊毛ダスター。朝、うっすら溜まった埃を、ひと撫でして払います。
とはいえ何も置かないというのも寂しいので、作業机の一角には、お店の顔であるわたウサギのソーレルさんを飾っています。
彼女がいるだけで、ミニチュア服を作る場所が特別な空間に変わります。
シルバニアの魅力は、ひとつの人形から世界が成立すること。暮らしの中で場所を取らず、そっと癒しを届けてくれる存在です。
机は、子どもの頃に使っていた学習机。
広くてしっかりとした天板に、たっぷりの収納がついていて、効率よく作業するためにちょうどいい大きさです。
引き出しには裁縫道具一式が収まっています。
その中でもハサミや針のような基本の道具は、無印良品の[ポリプロピレンデスク内整理トレー2]にまとめて、必要な時に引き出しからサッと取り出せるようにしています。
トレーの中には、いつもの作業を支えてくれる道具がそろっています。ひとつひとつ、どんなふうに使っているのかを少しだけご紹介しますね。
- セルフ針
しつけやボタンつけなど、手縫いの作業に使います。糸をさっと掛けられるので、作業の流れを途切れさせずに進められるのが魅力。 - みすや針
“曲がりにくいのに折れにくい”という特性をもつ針で、厚手の生地を手縫いするときに重宝します。布の角を整えたり、針跡をそっとならしたりと、細かな仕上げにも頼れる存在。ミニチュア服作りでは木綿針の「三ノ二」を愛用しています。 - クロスステッチ針No.20/とじ針No.10
ミニチュア服のゴム通しに役立ちます。 - シルクまち針
裁断時の仮止めに。薄地用で布に穴が残りにくいのが特徴です。 - 手芸はさみ
裁断や細かな糸切りを支えてくれる、小さな作業の相棒です。 - リッパー
縫い目をほどくための道具で、失敗したときの頼れる助け役です。ミシン付属のものを使っています。
糸くず入れには、雑誌の紙を縦25cm×横18cm(B5サイズがちょうど良い!)にカットして箱折りしたものを使っています。作業が終わったらそのまま捨てられるので、とても便利です。
ピンクションはトレーのサイズに合わせて自作しています。
角の部分は、ラインに合わせて切り込みを入れ、しつけをしてからミシンをかけるのが縫製のポイント。
細かな縫製の縫い直しは手間がかかるため、ミシンをかける前のしつけは欠かせない工程です。
ピンクッションにはポリエステル綿を詰めています。今回は針が刺さりすぎないよう、底にウレタンスポンジを敷いてみました。
それでも針がふっと中に入ってしまうことがあって……。そのたびに本数を数える、そんな小さな手間も手仕事の大切な習慣です。
針の管理にはとても気を使います。安心して作業を進めるために、あらかじめ針の本数を把握しておくことが大切です。
ミシンやアイロンのような大きな道具も、出しっぱなしにせず、使い終わったらすぐ戻せる場所を決めています。
ミシンは本棚に、アイロンやアイロン台、生地を入れたストッカー等は、机の反対側にあるシェルフの中へ収納しています。
道具たちにそれぞれの居場所を作ってあげることで、片付けが終わる頃にはまた、いつでも作業ができる状態に戻ります。
掃除道具は手の届くところに。階段の壁に掛けた高田耕造商店の三玉箒は、フローリングの溝や階段の掃除にぴったり!
暮らしの中の“作る場所”は、“動きやすさ”があってこそ。
日々の中で自分がどんなふうに動いているのかをそっと確かめながら、その流れが自然に続くように、物の置き場所や環境を変えていく。
そんなふうに動線を整えながら、これからもこの場所でミニチュア服を作り続けていきたいと思います。
🪑 減らすほどに見えてくる、小さな世界の豊かさ
必要以上のモノは置かない——そんなミニマルな暮らしに憧れた先で出会ったのが、シェイカースタイルでした。
シェイカーとは、18世紀にアメリカへ渡ったキリスト教の一派。
質素さと誠実さを大切にし、暮らしそのものを祈りと考えた人々です。
彼らが暮らしていた空間には、余白の中に静けさがあり、生活のための道具は必要な形だけを残して、整然と息づいています。
手仕事場は、そんなシェイカーの暮らしを参考にして形づくっていきました。
Shaker Retiring Room [ The Metropolitan Museum of Art, Public Domain ]
一方で、シルバニアファミリーは“集める楽しさ”を教えてくれる、いわばミニマルの対極にある存在です。
けれどモノを手放し、本当に残したいものだけを選び抜いた先で、手元に残ったのは、子どもの頃に遊んだシルバニアたちでした。
理由はうまく説明できないけれど、“豊かさの最小単位”のようなものが、小さな世界の中に確かにある——そんな気がしたのです。
ミニマルに暮らすことと、ミニチュアを愛すること。
一見矛盾して見える二つの世界の間には、実はそっとつながっている細くて豊かな道があるのかもしれません。












