ミニチュア服は小さい分、素材選びが仕上がりを大きく左右します。生地の厚さや硬さ、ほつれやすさ、糸の色合わせなど、何度も失敗を重ねてきました。
今回は、そうした経験を通して選び抜いた、素材選びのポイントをまとめました。
まず、ミニチュア服を作る際は、80番手※以上の薄手生地を選びます。
中でも『リバティファブリック』は、縦糸70番手、横糸100番手で織り上げられた理想的な厚みの生地で、柄の美しさはもちろん、質感や光沢感まで含めて、ミニチュア服としての完成度をぐっと高めてくれます。
※番手とは、糸の太さを表す単位で、数字が大きくなるほど糸は細くなります。
特にタナローンのプレーン生地は、ミニチュア服作りで欠かせず、いつもフル活用しています。
ミシン糸には、フジックスのシャッペスパン90番手を使用しています。一般的なミシン糸よりも細く、薄手生地や繊細なパーツを縫う場面に特に適しています。
- シャッペスパン #90/300m
以下に、私が普段使っているタナローンのプレーン生地の色番をまとめました。
実際の色味とは多少異なる場合もありますので、あくまでご参考としてご覧ください。
| 生地の名前 | シャッペスパン#90・品番 |
|---|---|
| ピンクキャンディ | 5 |
| マスタード・ハニー | 41 |
| スカイ・ブルー | 87 |
| エレクトリック・ブルー | 92 |
| ネイビー・レイク | 99 |
| コーニッシュ・クリーム | 103 |
| スレート・グレー | 163 |
| ボトル・グリーン | 191 |
| フューシャ・ピンク | 213 |
| イングリッシュ・ラベンダー | 246 |
| パウダー・ブルー | 266 |
| ホワイト・フロスト | 生成 |
| ジャスパーブラック | 黒 |
帽子やコートなどのアウターには、タイプライター生地のような高密度※で織られた素材をよく使います。
※高密度とは、糸の本数が多く、織り目が細かく詰まっていて、布の隙間がほとんど見えないのが特徴です。
生地選びは基本的にオンラインショップで行っています。実際に手で触れて確認できない分、番手による薄さと高密度に織られているかどうかを重視することで、失敗はかなり少なくなりました。
生地は種類ごとにチャック袋に分け、収納ストッカーで保管しています。
生地は一期一会の出会いで、気づけば廃盤になっていることも少なくありません。そのため気に入ったものがあると、ついストックしたくなります。
ただ、収納量はこれ以上増やさず、在庫がなくなったタイミングで必要な分だけを買い足すようにしています。
リボンは、3mm幅・4mm幅・6mm幅の両面サテンリボンを使っています。メーカーによって色味や厚みが異なるため、生地と同じようにチャック袋に分けて保管しています。
ボタンは4mm幅の貝ボタン、白蝶貝と黒蝶貝を使っています。
- 人形 ドール用ボタン
貝ボタンは、表面の輝きだけでなく、層状構造による奥行きのある干渉色が特徴で、控えめでありながら、目に留まる存在感があります。
そのため、仕立て上がったミニチュア服に縫いつけると出来栄えがぐっと良くなるのが分かり、いつも貝ボタンの小さなミラクルに驚かされます。
素材選びひとつで、服の表情や仕上がりは大きく変わります。
これからシルバニアさんの着せ替え服作りを始めようと思っている方には、私の積み重ねてきた試行錯誤が、素材選びの参考になれば嬉しいです。
🌱 あったらいいな、から始まったこと
シルバニアファミリーは、長いあいだ「女の子のおもちゃ」として親しまれてきました。着せ替え遊びも、ドレスやかわいらしい服が中心で、物語の主役はいつも女の子やお母さんでした。
子どもの頃からその世界観に親しんできましたが、ひとつ気になっていたことがあります。
それは、どれだけお母さんが着飾っても、お父さんはいつもオーバーオール姿のままで、どこか脇役のように感じられたことです。
もちろん、それはそれで魅力的でした。けれど、お父さんにも、きちんとした服や少しおしゃれな装いがあったなら、物語の広がり方は少し違っていたかもしれない――そんなことを、子どもなりに想像していました。
そうした子どもの頃の「あったらいいな」という気持ちが、今のミニチュア服作りの出発点にあります。

2018年に製作した、最初のお父さんのスーツ。
そして、お店を始めたのも、こうした気持ちを、作品という形で誰かに届けられたらと思ったことがきっかけでした。
ですから、同じような思いを、かつて抱いたことのある方と分かち合うことができたなら、作り手として、これ以上ない喜びです。
これからも、そんな「あったらいいな」を、ひとつずつ形にしていけたらと思っています。





